採用・育成
歯科医院の求人を出す前に、誰に何を任せるかを決める

歯科医師や歯科衛生士を募集しても、求める経験や勤務条件の合う人が応募してくれるとは限りません。受付・助手が採れても、未経験なら教える人と時間が要ります。「一人増えれば、何を任せられるのか」が決まっていないと、採用した後に別の負担が生まれることがあります。
人を増やして、医院で何を変えたいか
| 職種 | 任せること | 応募前に伝える体制 |
|---|---|---|
| 歯科医師 | 任せる診療・患者配分 | 経験に応じた相談・確認 |
| 歯科衛生士 | メンテナンス・診療補助の分担 | 担当制と勤務日、指導・相談 |
| 受付・歯科助手 | 受付・準備・片付けの分担 | 入職後に教える業務・指導役 |
メンテナンスの予約を取りやすくしたい。勤務医に診療を任せ、院長が患者さんへの説明に時間を取れるようにしたい。増員で実現したいことは、医院によって違います。ここが決まっていると、募集する理由も、任せたい仕事も説明しやすくなります。
募集する職種が同じでも、仕事の中身は同じではありません。衛生士には患者さんのメンテナンスを中心に任せたいのか、診療補助にも入ってもらいたいのか。医院が望む分担によって、応募する人へ伝える仕事内容や、求める経験も変わります。
衛生士の予約が埋まっている理由
衛生士の予約が先まで埋まっているときも、何に時間を使っているかで対応は変わります。患者さんを担当する予約枠自体が足りないのか、診療補助や器材の準備に時間を取られて枠を開けられないのか。人数と予約枠だけを見ていると、この違いを見落とします。
準備や連絡を受付・助手へ分けることで、衛生士が患者さんを担当する時間を増やせる場合があります。歯科医師・衛生士が行う診療と、受付・助手が受け持つ仕事を区別したうえで、仕事を渡す先にも時間と経験があるかを見ます。電話と会計が重なる時間に別の仕事を加えれば、今度は受付が滞ることもあります。
短時間勤務なら、患者さんの予約と勤務日を合わせる
予約が集中する曜日や時間に、短時間で勤務してもらう方法もあります。担当制をとる医院なら、患者さんが次も通える曜日と、その人の勤務日が合うかが関わります。勤務日が合わないときは別の担当を案内するのか、担当者のいる日に予約を取るのか。医院の方針を、受付にも入職する人にも伝えます。
診療後の記録や、次の担当への申し送りも、その人の仕事に含まれます。診療を受け持つ時間だけで勤務を組むと、後を受けるスタッフが確認に追われることがあります。予約の前後に何が残るかまで考えておくと、募集する勤務時間と、任せる仕事の量を比べられます。
教える人の仕事を、誰が受け持つか
指導役の勤務
- 通常の仕事
- 診療・受付などの担当業務
- 新人への指導
- 説明・練習・確認の時間
教えている間の通常業務
誰が引き受けるかを決める引き継ぎが難しい場合は、予約・業務量・採用時期を見直す。
一人で任せる範囲は、業務ごとの習熟度に応じて判断します。
未経験の受付・助手が、医院の予約の取り方や器材の扱いを覚えるには時間がかかります。先輩が隣で教えている間は、指導役が普段受け持っている仕事にも手が要ります。入職する人の給与に加えて、この時間も医院が負担する採用のコストです。
たとえば次回予約を任せるなら、診療側から次に行う内容や必要な時間が伝わっていなければ、新人だけでは予約枠を選べません。必要な情報が渡ってこないままでは、手順書を覚えても一人で対応できない場面が残ります。申し送りの項目と、迷ったときに聞く相手まで決まっていることが、受付の教育の前提になります。
指導役を置ける日が限られるなら、入職日をその予定に合わせる方法もあります。経験者を求めるか、未経験者を育てるかは、応募の集まり方と、医院が教えられる時間の両方で決めます。
「18時まで」は、診療終了か退勤か
診療が18時に終わり、その後に片付け・記録・申し送りがあるなら、退勤する時刻は別です。応募する人にとっては、通勤や家庭の予定に関わります。診療時間と実際の勤務時間を同じ言葉で済ませず、それぞれの時刻を記します。
仕事の内容も、「受付・助手業務全般」だけでは伝わりません。どの時間に受付を離れて補助に入るのか。未経験なら、誰から何を教わるのか。求人を読んで、入職後の一日をある程度想像できる説明があれば、応募する側も自分に合う働き方かを考えられます。
給与の内訳、休憩、休日、試用期間、残業の実態も、応募前に知ってもらいたい条件です。求人、見学、面接で違う説明にならないようにし、採用時に明示する労働条件とも一致させます。
応募する人も、医院を選んでいる
医院が任せたい仕事と、応募する人が続けられる働き方が合うか。条件を早い段階で知ってもらえば、本人も、その医院で働くかを考えられます。求人は応募を集めるための広告であると同時に、その選択に必要な仕事の説明でもあります。
参考資料
- 厚生労働省「歯科衛生士」職業情報提供サイト
歯科衛生士の業務を、予防処置・診療補助・保健指導に分ける際の参考資料。業務分担は資格や医院の診療体制を踏まえて検討します。
- 厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」
募集時に示す仕事内容・就業場所の変更範囲などを確認する参考資料。この記事は、法定の明示事項の全項目を列挙したものではありません。