資金計画

歯科医院の設備投資は、月末残高だけでは決められない

歯科設備の見積書、支払日を考えるカレンダー、通帳のイラスト

見積金額が予算内でも、支払いの時期によっては給与や家賃の資金が足りなくなります。月末の残高だけを見ていると、途中で起きる不足には気づけません。設備の契約前に、導入後の人件費と毎月の支払いまで、実際の日付で資金繰り表に書き出します。

ユニットを増やすと、何が増えるのか

診療台を一台増やしても、今の予約を移すだけなら患者数は増えません。どの曜日に、どの診療を新たに受けられるのかが、追加の売上を見込む出発点です。歯科医師が治療する枠と、衛生士が患者さんを担当する枠では、必要な人員や補助の仕事も違います。

導入後に増える人件費、材料費、技工料、保守費を見積もり、予約が想定より少ない場合にどの費用が残るかも確かめます。機器を入れ替える場合も、用途、使う頻度、担当できる人を確かめ、今の機器を使い続ける案と比べます。

業者ごとの見積もりは、本体に加え、設置工事、古い機器の撤去、保守契約を含む範囲がそろっているかに注意します。価格が同じでも、後から費用がかかる項目が違うことがあります。新しい機器では、消耗品代や、スタッフが操作を覚えるための時間も必要です。

利益と、通帳に残るお金が違う理由

損益の記録と、口座で動くお金を分ける
項目損益の記録口座の動き
保険診療診療月の売上として見る窓口収入と保険請求分を、入金時期ごとに分ける
設備減価償却費として期間に配分設備代を、契約で決まる日・金額で支払う
借入の元金費用には含めない返済日に口座から出る

投資の判断では、損益と資金繰りを別々に確認します。

保険診療の売上を、そのまま当月の入金予定にはできません。窓口で受け取る分と、後日振り込まれる保険請求分を、入金予定では分けて記載します。給与や家賃の支払いが先に来るなら、入金までの資金が必要です。保険請求分は、支払機関の予定日と医院の入金実績を使います。

自由診療も、契約総額と今月の入金額は別です。着手時、治療途中、完了時など、患者さんと取り決めた支払条件に沿って、実際に入る予定額を書きます。入金予定は通帳や支払通知と照合し、差があれば、理由を確かめて修正します。

月末は60万円、20日には70万円不足

月の途中に生じる資金不足(説明用の架空例・万円)
0100200300300月初806日2012日▲7020日10025日6028日

点は記載日の計算上の残高です。間の日々の残高を示すものではありません。▲70万円は不足を表します。

図は説明用の架空例です。▲70万円は、20日の給与を払うために不足する金額を表しています。25日に入金予定があっても、20日の支払いには使えません。その日までに不足を解消しなければ、この計画は実行できません。

計算の内訳を見る
支払いと入金の順序で生じる不足(説明用の架空例・単位:万円)
日付・予定入出金計算上の残高
月初―300
6日:設備代−22080
12日:家賃・材料費等−6020
20日:給与−90▲70(不足)
25日:診療収入の入金+170100
28日:その他の支払い−4060

導入する範囲と支払条件を、契約前に見直す

手元資金が足りなければ、導入を遅らせる、一部だけ先に入れる、融資を利用する、といった案を比べます。分割や支払日の変更ができるかは、相手との契約次第です。融資も、相談中のお金を使える資金として扱わず、金額と実行日が確認できてから資金繰り表に反映します。

後から追加する場合は、追加工事や納期、休診の必要性も業者に聞いておきます。設備代を先送りできても、工事費が別にかかったり、翌月の大きな支払いと重なったりすれば、負担が軽くなるとは限りません。

予約が埋まらない期間も、給与と家賃は続く

増設した直後から、予約が計画どおり埋まるとは限りません。その間も給与、家賃、返済、保守費の支払いは続きます。稼働が低い場合と入金が遅れる場合を資金繰り表に反映し、いつ、いくら足りなくなるかを計算します。

補助金も、採択や入金を見込むだけで支払いの原資にはしません。実際に入金されるまでの支払いも賄える計画が必要です。

必要な金額と日付を、金融機関や販売会社に伝える

資金の相談では、いつ、いくら不足するのかを資金繰り表で示します。融資の実行日と設備代の支払日がかみ合うかまで確かめてから、契約する条件を決めます。

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参考資料