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仕事を、四つの観点で見る
診療以外の仕事を一覧にすると、項目が多すぎて、かえって何から手を付けるべきか分からなくなります。そこで、ひとつひとつの仕事を、誰が担当しているか、どんな意思決定が必要か、どこと連携するか、そして手を付けないとどんな影響が出るか、という四つの観点で見ていきます。
この見方を使うと、仕事の量ではなく偏りが見えてきます。たとえば、ある仕事の担当が決まっていないために院長が引き受けていたり、意思決定が必要なのに誰も判断しないまま先送りになっていたりすることがあります。以下では、三領域それぞれについて、具体的な仕事を取り上げます。
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フロントオフィス:患者体験と需要を見る
フロントの仕事は、医院を知ってもらうことから、来院後に診療内容や費用を説明するところまでを含みます。担当は、受付、衛生士、歯科医師、そして院長自身と、場面によって分かれます。意思決定が必要なのは、どんな患者さんに、どんな診療を中心に伝えるかという点です。連携先は、ウェブサイトや広告を扱う制作会社、地域の医療機関などになります。
この仕事を見ないと、起きることが二つあります。一つは、伝えたい診療と実際に来院する患者さんの希望がずれることです。もう一つは、患者さんへの説明が人によって異なり、治療の同意や費用の納得に差が生まれることです。
需要の見方は、地域によって大きく異なります。住宅地の医院と、駅前の医院とでは、来院する世代も通院の頻度も違います。地域の年齢構成の変化は、全国の人口の増減とは別に、医院の前の通りで何が起きているかを見て判断する必要があります。
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運営:採用は、目指す診療から考える
採用の担当は、多くの医院では院長か、院長の指示を受けた事務担当です。意思決定は、何人を、どの職種で、どの勤務条件で迎えるかを決めることです。連携先は、求人媒体、養成校、職業紹介の事業者などです。採用を見ないと、人員が足りない状態が続き、予約を絞らざるを得なくなる、あるいは特定のスタッフに負担が集中して退職につながる、という影響が出ます。
採用を考えるときに、先に人数を決めると、後で無理が出ます。順序としては、まず院長が目指す診療を決めます。次に、その診療を行うために必要な職種と人数を見積もり、勤務時間や休日などの条件を決め、教育にかけられる時間も合わせて検討します。新しく入った人が一人で業務をこなせるようになるまでには、教える側の時間も必要です。教育の時間が取れないなら、採用の時期や人数を調整する判断が必要になります。
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運営:分担と情報連携
運営の仕事には、誰が何を担当するかという分担と、情報をどう共有するかという連携があります。分担は、受付、アシスタント、衛生士、歯科技工士などの職種ごとに決まる部分と、その医院の事情で決まる部分があります。決まっていない業務は、気づいた人か、院長が引き受けることになりがちです。
情報連携が弱いと、患者さんの状況が人によって違って伝わり、同じ説明を何度もすることになります。これは患者さんの負担になり、スタッフの時間も使います。連携先には、歯科技工所、材料の取引先、他の医療機関への紹介先などがあり、院内だけでなく院外も含めて、連絡の方法と記録の残し方を決めておく必要があります。決めるのは院長ですが、実際に使うのは現場のスタッフですので、使い続けられる形にすることが大切です。
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バックオフィス:会計と資金
会計の担当は、税理士に任せている部分と、医院内で日々の入出金を記録する部分に分かれます。意思決定が必要なのは、設備投資や採用の費用を、どの時期に、どの資金でまかなうかという点です。連携先は、税理士、金融機関、補助金の窓口などです。
月次の損益だけを見ていると、見落とすことがあります。保険診療の収入は、窓口で受け取る分と、後日振り込まれる保険請求分に分かれます。そのため、診療が忙しくても、手元の資金が一時的に少なくなることがあります。資金の動きを見ないまま設備を導入したり、人を増やしたりすると、利益が出ていても支払いが厳しくなることがあります。利益と資金は別のものとして見る必要があります。
補助金や融資は、使えれば助けになりますが、条件や時期が合わないこともあります。使えるかどうか決まる前に、使える前提で計画を立てないことが重要です。
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バックオフィス:労務、契約、制度
労務は、勤務時間、休日、給与の支払い、社会保険など、スタッフの働き方に直接関わります。担当は院長か事務担当で、専門家としては社会保険労務士が連携先になります。就業のルールがあいまいなまま運営すると、スタッフの不満や、後から起きるトラブルの原因になります。
資格に関わる業務は、歯科衛生士や歯科助手の業務範囲を含めて、専門家の確認が必要な領域です。誰が何をしてよいかは、医院の判断だけで決めず、根拠を確認したうえで分担を決めます。
契約には、賃貸借、リース、保守、取引先との契約などがあります。更新の時期や解約の条件を把握していないと、費用の見直しの機会を逃したり、解約できない期間に縛られたりします。制度には、診療報酬の改定や各種の届出があり、変更があった際に誰が確認し、誰が医院内に周知するかを決めておく必要があります。契約や法的な判断が必要な場面では、弁護士など専門家に確認します。
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複数の歯科医師がいる法人と、院長中心の医院の違い
同じ仕事でも、医院の体制によって、誰が担当し、何が難しくなるかは変わります。次の表は、傾向を比較したものです。実際には医院ごとの事情で異なりますので、あくまで考え方の目安としてご覧ください。
| 観点 | 複数の歯科医師がいる法人 | 院長中心の医院 |
|---|---|---|
| 意思決定 | 院長のほか、各歯科医師や管理者との合意が必要になりやすい | 院長が判断でき、速い一方、判断が院長一人に集中する |
| 担当の分け方 | 部門や役割で分担しやすいが、基準の統一が課題になる | 院長が兼任する業務が多く、分担の余地を探す必要がある |
| 採用と教育 | 人数が多く、教育の仕組みを整える必要がある | 少人数で、一人の退職の影響が大きい |
| 会計と資金 | 拠点や部門ごとの収支を分けて見る必要がある | 院長の個人資産と医院の資金の区別を保つ必要がある |
| 見ないと起きる影響 | 方針の食い違いや、不公平感が生まれる | 院長の時間が足りなくなり、診療に影響が出る |
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これらの仕事に、私たちはどう関わるか
メディリンクスは、現状の分析、計画や資料の作成とともに、人員配置、採用・教育の進め方、業務分担、院内外の情報連携など、医院の運営もサポートします。三つの領域を別々の問題として扱わず、ある変更が他の仕事や費用に与える影響も一緒に検討します。税務・労務・法務は、それぞれの専門家と連携して進めます。
すべてを一度に変える必要はありません。院長が実現したい診療と現在の体制を確かめ、まず取り組むことと、そのために使う時間や費用を決めていきます。取り組んだ後にも、スタッフの負担や収支がどう変わったかを確認し、必要に応じて進め方を修正します。
診療以外の仕事は、見えにくいだけで、すでに医院の中で誰かが担っています。その負担を整理して、院長が診療と判断に時間を使える状態を考えていきます。
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