01
開業費用は昔の相場で考えにくい
開業にかかる総額は、以前の目安と同じ感覚では見積もりにくくなっています。モリタの開業相談コラム(2025年11月)は、約10年前のテナント開業の総額例を約6,000万円、2025年時点を8,000万円〜1億円と説明しています。単純に計算すると、約1.3〜1.7倍です。
総額例の比約1.3〜1.7倍8,000万÷6,000万 = 約1.3 / 1億÷6,000万 = 約1.7
8,000万円まで1億円までの幅
目安として読みます。現場コラムの総額例で、同一仕様の価格指数ではありません。内装費だけ、機材費だけの数字でもなく、機器の高機能化や導入範囲の変化も含みます。
ただし、これは現場のコラムが示す目安で、同一仕様の価格指数や全国調査ではありません。機器の高機能化や、導入する設備の範囲が変わった影響も含まれます。そのため、昔の相場や他院の総額を当てはめず、自院の診療体制と物件の条件で必要額を積み上げて確かめます。
02
目指す診療と生活条件
開業の判断は、診療方針だけでは決まりません。院長ご自身の生活、たとえば自宅からの通勤時間、家族の事情、診療日や診療時間、一週間にどれだけ診療に出たいかも、場所と体制を選ぶ条件になります。
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1あるべき診療
- どんな診療か
- 誰に届けるか
- どんな体制か
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2方針に合わせて決める
- 立地・内装
- 採用・設備
- 投資・返済計画
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3開業初期に確かめる
- 売上と費用
- 運営の状況
確かめた結果が、診療の方針と計画の見直しに戻る
数字だけの事業計画ではなく、診療の方針が数字の根拠になります。
そこに、診たい患者さんと診療内容、地域の需要、物件の条件、必要な費用、集められる人材を並べます。歯科医師や歯科衛生士は募集してもすぐ採れるとは限らないため、採用の見通しも早い段階から条件に入れます。
条件は互いに影響します。たとえば夜間の患者さんの需要に応えようと診療時間を遅くまで伸ばすと、その時間に勤務できるスタッフ、帰宅の交通手段、増える人件費、院長ご自身の生活の条件も同時に変わります。一般的な検討例ですが、物件、診療日時、採用を別々に決めると、後からどれかに無理が出ます。
譲れない条件と調整できる条件を先に分けておくと、物件や見積りを前にしたときに、比べる基準がぶれにくくなります。
03
開業初期の売上と資金の備え
開業初期の売上は、医院が知られているかに加え、予約を受ける仕組みと診療できる体制がそろっているかに左右されます。一方、家賃や準備費用は開業前から、人件費は入職の日から発生します。
そのため、売上と費用の差に加えて、返済後に手元へ残る資金まで月ごとに置きます。保険請求分は後日の入金になるため、売上が立っても現金が増えるのは少し先です。
立上がりが遅れた場合の収支も、あらかじめ一つ用意します。費用を調整するのか、追加の資金相談をするのかを、資金に余裕のある時期に選べるようにするためです。
04
資金・運営・売上の3領域
開業前の準備は、資金計画と調達のバックオフィス、診療体制と採用の運営、立地・内装・認知のフロントオフィスに分けると整理しやすくなります。図から各ページへ進むと、領域ごとに何をどの順で決めるかを読めます。
01 バックオフィス
資金計画・調達
必要額、金融機関、返済、契約
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資金と体制を照合
02 運営
診療体制・採用・準備
体制、職種、入職、開業前の準備
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体制と初期売上を照合
03 フロントオフィス
認知・初期の売上
立地、内装、告知、受け入れ体制
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内装の費用や初期の売上は、資金計画に戻って確かめる
3つがつながる先開業後の立上がり
3つは別々に進みません。内装の費用は資金計画に、資金は雇える人数に、立地は採用できる範囲に、人数は受け入れられる患者数に響き、その結果が開業後の収支に表れます。どれかを決めるときは、他の2つへの影響も合わせて確かめます。
05
融資と契約の進め方
物件の賃貸借契約、内装の設計・工事契約、主要設備の発注は、結ぶと変更しにくい決定です。これらは、資金、図面、見積り、契約条件がかみ合ってから進めます。
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立地・コンセプト
選べる幅:最も広い
地域と患者層、診療の組み合わせから、場所の候補を比べられる。
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内装設計・業者比較
選べる幅:広い
見積りを同じ範囲にそろえて比べ、動線や設備の組合せを検討できる。
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契約・工事
選べる幅:狭まる
契約後は、変更に費用と時間がかかり、動かしづらい。
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開業後
選べる幅:調整が中心
運用や告知は見直せるが、建物側の条件は変えにくい。
内装の見積りを見るとき、同時に確認する三つ
資金総額と、運転資金への影響
診療動線滅菌・受付・ユニットの動き
認知と患者体験外から見えるもの、来院後に感じるもの
業者ごとに、見積りに含まれる範囲と価格が違います。金額だけで比べず、含まれる範囲をそろえてから比較します。
融資は、相談、申込み、審査、借入契約、入金に分かれます。候補地と概算が見えた段階で相談し、必要資料や審査の日程を確認します。審査中も物件や支払条件の確認は並行するため、融資が終わってから物件を探すという一律の順序ではありません。契約・発注の前には、融資の状況、自己資金、支払期限、変更・解約条件を照らして判断します。
採用の準備、設備の納品日程の確認、告知の準備も、候補を比べる段階から並行します。物件探し、融資の相談、採用の準備は互いの日程に影響するため、早い時期に全体の日程を一枚にしておくと、選べる幅が残ります。
06
関わる会社の役割と日程を並べる
開業計画は収支表だけでは完成しません。ディーラーは設備の提案と導入、設計・内装の会社は図面と工事、税理士は税務と会計、金融機関は融資の審査と実行を担い、それぞれ得意な範囲と日程が違います。
誰が何をいつまでに行うかを一覧にすると、抜けや遅れに気づきやすくなります。見積りは含まれる範囲をそろえて同じ条件で比べ、どの案にするかは院長が決めます。
07
メディリンクスの関わり方
メディリンクスは、医療法人の事務局での実務経験をもとに、診療方針、採用と体制、収支、資金、業者の提案を横断して、院長の判断を支えます。たとえば、前提を置いた収支・資金計画をつくり、内装や機器の見積りを同じ条件で並べ、診療体制と採用条件・人件費を照らし、採用、納品、告知の日程のつながりを確かめます。
たとえば内装費を下げる案でも、動線が悪くなり毎日の作業が増えるなら、金額だけでは選べません。初期投資、毎月の収支、必要な人員を一緒に見て、何を残して何を変えるかを院長が判断できる形にします。税務・労務・法務の専門判断は、各専門家と確認して進めます。
| 迷いやすいこと | 一緒に検討すること | 院長が判断すること |
|---|---|---|
| 必要額と借入額の決め方 | 前提つきの収支・資金計画、見積りの同条件比較 | 借入額と契約・発注の時期 |
| 勤務医の要否と採用の難しさ | 診療体制と採用条件、人件費の照合 | 始める体制案と募集条件 |
| 場所と物件を何で絞るか | 通院・通勤の条件、家賃、初期投資の比較 | 候補地と契約する物件 |
開業の準備は、方針、生活条件、資金、体制、立地を行き来して比べるほど、選べる案が具体的になります。次の3ページで、領域ごとの決める順番を確かめてください。
経営サポート「シカパト」を見る開業時に考える三つの領域
準備する内容を、テーマごとに詳しく
← これから開業される方へ開業後の経営についても読む →費用の参考資料
モリタ One To One Club「歯科の開業資金①」(2025年11月)。開業相談コラムに示されたテナント開業の総額例であり、同じ仕様の内装費や機材費を比較した価格指数ではありません。経営計画の解説は当社の支援の考え方です。
